口紅を買うとき
300円のものを3個売るより、1000円、2000円のものを1個売る方が利益は大きいです。
資生堂のチェーン店の店主や店員は、極力資生堂のものを売ろうとします。
わたしも化粧品を買おうと、市内でも名の通りの化粧品店に入りました。
女店員が2、3人愛想よく、にこやかに近づいてきて、
「いらっしゃいませ、奥様。何を差しあげましょう」
「ロ紅がほしいのですが」
「はい、はい。いろいろ取りそろえてございますよ」
店員はショーケースに並べられたロ紅をとり出して「奥ざまにはこういったお色がお似合いで……」。
その口紅はみな高級品らしいので「安いのが欲しいのですが」といいました。
「安いものと申しましてもねえ、やはり油がよろしくないのですよ。
1500円ぐらいから上のお品でないと」
私は少し気おくれがしましたが、勇気を出して言ってみました。
「K口紅の300円のがあると思いますけど、それを下さいな」
・・・とたんに店員の態度がガラリと変わりました。
「奥にあるので取って来ますけど・・・」
「○○番を下さいな」
・・・そばに寄って来ていた店員たちはスッと向うへ行ってしまいました。
私はたのんだ品が届くまでの間、なんだかさらしものになったような落着かない気持で店頭に立っていました。
これだったら今日もエステの永久脱毛 へ行けばよかったと思ったものです。