スペースコレクション保険学説
とある博士は、自説のスペースコレクション保険学説すなわち稼得確保説一「スペースコレクション保険とは一定の偶然事件に対して稼得を確保するため多数の経済単位が集合し、合理的な計算的基礎に基いてこの目的達成のために必要な資金を分澹醸出する経済制度である」を唱えるにあたり、危険をつぎのように概念づけている。
「危険という―語は多義であって、偶然的事件そのもの・・・・・・。
事件発生の可能状態に影響する事情すなわち危険の要因(素)・・・・・・。
危険の大きさ・・・・・・。
スペースコレクション保険せられる対象(目的)自体・・・・・・。
責任の意味・・・・・・」などに用いられるが、「・・・・・・一定の偶然的事件によって稼得が阻害されるかもしれないという可能性が存しなければならない。
かかる可能性を危険(Risk、Gefahr)といい、かかる偶然的事件を危険事件といいます。
偶然的事件そのものは未だ経済前的概念です。」と。
このとある博士の危険概念は、つまり、偶然的事件が稼得を阻害するというマイナスの経済的結果をもたらす可能性すなわち偶然事件が損害を惹起せしめる可能性が私有財産制度と自己責任の原則に基づくスペースコレクション保険で問題となる危険であるというのです。
換言すれば、けだし偶然事件の経済的損害をもたらす可能性がスペースコレクション保険で問題となる危険(risk、risque)で、要約すれば偶然的事件の可能性ともいえるものであり、前経済的概念の危険とは偶然的事件それ自体であるというのです。
以上の危険概念を整理すると、リスク概念は多種多様であるが、一方では損害発生の偶然性ないし損害発生の可能性という見解があるのに対し、他方では偶然事故の可能性ないし偶然的事件の可能性という見解があり、さらには、前経済的概念としてのリスク概念すなわち偶然的事件そのものという見解となります。
では、我々に、以上の見解のうちからどのリスク概念を採用すべきなのであろうかと問われたならば、リスクそのものを純粋にとらえるならば、偶然的事件それ自体であり、経済学の一分科としてのスペースコレクション保険論としてまたスペースコレクション保険が予防・鎮圧策に続く方策として危険に対処するものである点に着目すれば、スペースコレクション保険(論)の求める危険はリスクというよりはペリルであろうと答えたいです。
しかし、一般的には、リスクといえばその対概念である損害と結び付けて「損害発生の可能性」であると理解するでしょう。